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Posted by ミリタリーブログ at

2014年11月26日

WWIIドイツ陸軍 HBT(夏季)野戦服の複製品に対する疑問


トップ画像とはまったく関係ありませんが、今回はドイツ軍の夏季野戦服、HBT(ヘリンボーン)野戦服とも言われるもの(本記事では以降HBT野戦服で統一)の複製品についてのお話です。

【プロローグ】
ある日、私が利用しているとある掲示板で「ドイツ軍のM36のHBT野戦服の複製品を買った」という内容と野戦服を写した写真が投稿されましたが、その写真を見た際に私は違和感を感じました。
返信で私は「これはM36野戦服ではないのでは?」と質問し、その返信で投稿者は「店ではM36として売っていた」という内容と、購入先を教えてくれました。
そして教えて貰ったお店の商品カタログを見た後に「まさか」と思い、これまで撮影した写真や他の人が撮影した写真を確認しました。










「もしかして、M36 HBT野戦服の複製品はボタンが1つ多い?」










ということで本題に入ります。
「ボタンが1つ多い?」に該当するのは野戦服正面の前合わせ部分です。


【元写真:どこかで拾って私が着色した写真】

ドイツ陸軍の官給野戦服は、採用された時代によってボタンの数が異なります。
上記の写真の野戦服は5つボタンですが、M41野戦服の段階でボタンの数が5つから6つに増えました。
変更された理由は野戦服で使用する生地の品質低下説などがありますが、形状の原型となるM33からM40までは5つボタン、M41からM44までは6つボタンということになります


これは私が所有するM43野戦服の複製品です。
ちなみに武装親衛隊に納品される野戦服は陸軍と異なり、M43まで5つボタンでした。

【参考資料】
・Google検索でヒットするサイト、以下検索先URL(クリックで結果に飛びます)
https://www.google.co.jp/search?q=M36+Feldbluse
https://www.google.co.jp/search?q=M40+Feldbluse
https://www.google.co.jp/search?q=M41+Feldbluse
https://www.google.co.jp/search?q=M41+Feldbluse+Waffen-SS
https://www.google.co.jp/search?q=M42+Feldbluse
https://www.google.co.jp/search?q=M42+Feldbluse+Waffen-SS
https://www.google.co.jp/search?q=M43+Feldbluse
https://www.google.co.jp/search?q=M43+Feldbluse+Waffen-SS
https://www.google.co.jp/search?q=M44+Feldbluse





続きまして、今回のお題となるHBT野戦服の複製品をメーカー別で2種類見てみましょう。


1つ目は冒頭で述べたM36 HBT野戦服の同メーカー製複製品です。
ちなみに、そのメーカーとはS&GRAFのマキシミリアンハペン(以降S&GRAF製で統一)です。


一部見にくいものもありますが、ボタンの数を数えると6つになり、規定より1つ多いです
ただ、ドイツ軍の古参兵や将校の一部では「M40以降の野戦服の襟の生地を変えてM36風に改造する」ということが行われており、またM41の段階ではポケットの外観が大きく変わっていないことも合わさって「6つボタンのM36野戦服のように見えるM41野戦服」という感じになりますので、そういう設定ではコレもアリでしょう。
冒頭プロローグにおける私の問いも、その「M36っぽい改造M41野戦服では?」という内容です。


2つ目は海外製のM36 HBT野戦服の複製品です。
持ち主様いわく「洗ったら凄まじく色落ちしてこうなった」とのことです。


ボタンの数は5つで、S&GRAF製と異なり規定に則った数です




本記事での比較は2つだけですが、調べてみたところ、国内メーカーではさらに少なくともカンプバタリオン!!製もM40ですが6つボタンでした。
海外製に目を向けると、5つボタンと6つボタンの両方が混在していました
そして「HBT野戦服に関する何か重要な規定を見落としているのでは」と思い、色々探してみましたが収穫はありませんでした。

ちなみに作業服の話になりますが、作業服の色が無染色無漂白の生成りからリードグリーンに変更されたのは1940年2月12日付の通達(HV.40B, Nr.128)で、北アフリカ戦線などで使用される熱帯地野戦服が支給されない地域の部隊では主にリードグリーン作業服を夏用野戦服として転用する例もあったそうなので、ポケット増設などの現地改造が施された作業服もありそうですね。

STEINER氏によると、通常のウール野戦服と同じ4つポケットのHBT野戦服が夏用として採用されたのは1941年、その後ウール野戦服の改正に合わせてHBT野戦服も形状が変更されていったそうです。
ウール野戦服のように、襟などを個人改造した作業服もあったのでしょうか?

【参考資料】
STEINER WW.II ドイツ軍 軍装品 武器類(http://steiner.web.fc2.com/) / 陸軍43年型ヘリンボーン野戦服





また、Yahoo!知恵袋にもHBT野戦服に関する質問がありましたのでご紹介します。

【参考資料】
ナチスドイツ軍の軍服について質問です。M36野戦服について調べていたら... - Yahoo!知恵袋(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1062921125



質問の内容を要約すると「M36野戦服のHBT版は実在するのか?」ですが、ベストアンサーの回答者は作業服の背景から述べて、最後は「実在しない」と答えています。
ですが、日本の場合はウール野戦服を満足に着用できる期間が限られますので、実在しないとしても代用品として重要な複製品だと思うのが個人的な感想です。
ちなみにK氏は今年5月の暑い日にウール野戦服でサバゲに参戦し、数時間後には脱水症状寸前まで陥っていました



ということでそろそろ記事を締めようと思いますが、結局「M36(とM40)のHBT野戦服のボタンの数がメーカーによって違う理由」はわからず仕舞いでした(爆)
しかし、これは今までまったく気がつきませんでしたね…。
私の中では大発見でした(笑)



WWIIドイツ陸軍 HBT(夏季)野戦服の複製品の疑問」はこれで以上です。