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Posted by ミリタリーブログ at

2015年03月07日

WWIIドイツ軍 ケンカルテ 各項目の日本語訳(Kennkarte)



今回はドイツ兵が前線勤務の際に携行することがあるケンカルテ(Kennkarte)の内容について触れようと思います。



ナチス・ドイツ時代のドイツ国防軍では人事記録台帳として普段は所属中隊本部が保管し、退役の際本人に返される「軍隊手帳」(Wehrpass、ヴェアパス。直訳では「防衛パス」)と、本人が常時携帯し身分証明書と給与支払記録帳を兼用した「俸給手帳」(Soldbuch、ゾルトブーフ。直訳では「賃金帳」)に分かれていた。なお、最前線地域などで「俸給手帳」を携帯しない場合には「簡易身分証明書」(Kennkarte、ケンカルテ。直訳では認識カード)を携帯した。「簡易身分証明書」は氏名、階級、所属部隊等必要最小限のことが記載され、所持者の顔写真の貼られた(正しくは台紙にハトメで留められた)二つ折りのカード型の物である。これら3点は本人に与えられ、もしも所持者が戦死した場合は遺品として遺族のもとに送られた。

(Wikipedia記事「軍隊手帳」の「ナチス政権当時のドイツ軍の場合」より)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E9%9A%8A%E6%89%8B%E5%B8%B3



早速Wikipediaから転載するという手抜きっぷりですが、要するに非常に簡素な身分証明書です。
調べてみると、項目が異なるケンカルテが数種類ありましたが、本記事で使用するのは「Kennkarte nur für Fronteinsatz」と書かれているケンカルテです。
このケンカルテは1枚の厚紙に両面印刷されています。
独ソ戦イベント「独ソ戦! 1942」の現地エントリーで「所属軍の何かしらの軍用身分証明書を提示する」というものがあり、自分用のケンカルテを製作する際に記載項目を調べてみましたので、実物のスキャン画像を交えながらそれらをご紹介していきます。






【画像をクリックすると別窓で原寸大に拡大されます】

まずは表側です。
携行する際はこちらを表にして縦に半分折り、胸ポケットの中に入れます。
記載されているドイツ語は以下の通りです(カッコ内は手抜き日本語訳です)。



Kenkarte
nur für Fronteinsatz
(前線上のケンカルテ)

Statt Soldbuch
(ゾルトブーフ代用)
Nr.
(ナンバー)

Rückwärts der Rgts.-Gef.-Stände
als Personalausweis ungültig!
(後方の連隊指揮所においては身分証明書として無効!)

※補足
Rgts.=Regiments
Gef.=Gefecht



ゾルトブーフ代用と明記されていますね。
カードの下部には「後方では身分証明書として通用しない」と(多分)書いてあります。
「ナンバー」は発行ナンバーのことでしょうか?


【画像をクリックすると別窓で原寸大に拡大されます】

裏側です。
まずは左側の項目を見てみましょう。



Dlenstgrad: (階級)
Zuname: (姓、ファミリーネーム)
Vorname: (名、ファーストネーム)
geb. am: (生年月日) ※順は「日. 月. 年の下二桁.」
in: (生誕地)
Familienstand: (配偶者の有無)
Religion: (宗教)
Beruf: (入隊前の職業)
Anschrift der nächsten lebenden
Angehörigen: (最も近くに居住する親族の住所)
Grösse: (身長) ※cm
Haar: (髪の色)
Gesicht: (顔の形)
Augen: (目の色)
Besondere: (特徴)



続いて右側です。



Erkennungsmarke: (認識番号)
Blutgruppe: (血液型)
Besoldungsgruppe: (給与体系)
Auszeichnungen: (受章類)
Eigenhändige Unterschrift: (直筆署名)

Die Uebereinstimmung mit den Eintra-
gungen im Soldbuch wird bescheinigt: (これをゾルトブーフと認定し登録することに合意する)
(Unterschrift) (署名)
(Dienstgrad) (階級)
(Datum) (日付)

Feldpoststempel (野戦郵便局スタンプ)
F. P. Nr. schwärzen (野戦郵便局ナンバー入りを黒色で)





これで項目は以上です。
直筆署名から下の部分はこのケンカルテの発行を許可した人が記入する部分ですね。
「独ソ戦! 1942」ではドイツ軍指揮官として参加する方に署名して頂きました。

項目の書き方については、ブログ「東部戦線的泥沼日記 ~WW2 German Military Collection」の記事シリーズ「軍隊手帳と兵隊手帳 (Wehrpass u. Soldbuch)」がとても参考になります。
私の記入例については、その内ご紹介するつもりです・・・。
ちなみに、「独ソ戦! 1942」で使用したケンカルテは残念極まりない出来でしたので破棄しました(笑)

【参考資料】
・東部戦線的泥沼日記 ~WW2 German Military Collection(http://gerhard03.blog61.fc2.com/) / 軍隊手帳と兵隊手帳 (Wehrpass u. Soldbuch)



最後に、私が製作したケンカルテの印刷用画像を掲載します(これまで掲載した画像とはまた別です)。



【画像をクリックすると別窓でフルサイズのpng画像が表示されます】


画像自体を原寸大に近い状態(実物は広げた状態で300 x 105mm)としていますので、そのままWordなどに張り付けて両面印刷し、縁を切ればそれっぽいものができます。
イベント用の小物や練習などにご活用ください。
実物は厚紙を使用しています(具体的な素材や厚さはわかりません・・・)。

WWIIドイツ軍 ケンカルテの項目(Kennkarte)」はこれで以上です。