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Posted by ミリタリーブログ at

2015年04月15日

日本陸軍 九九式背嚢(蛸足背嚢) 縛着例(実演有)


今回は「タコ足背嚢」という異名を持つ日本陸軍の背嚢「九九式背嚢」に装備を縛り付ける(縛着)方法の例をご紹介します。
ここ最近、日本軍な人の間では毛皮背嚢昭五式背嚢などが注目されているようですが、私は九九式背嚢が好みです
1950年に設立された警察予備隊では九九式背嚢に酷似した(実質改良型?)ものが採用されており、保安隊を経て陸上自衛隊になっても長く使用されてきました。


これが九九式背嚢です(Hiki Shop製複製品)。
中身には気泡緩衝材、プチプチを入れています。
「タコ足背嚢」と呼ばれる理由は、装備を縛着するための紐が多い(16本)ためです。
戦後民間で転用されたタコ足背嚢の中には「邪魔だから紐を切断した」という改造品もあります。



ということでそろそろ本題へ入りましょう。

今回縛着する装備は以下の通りです。



・毛布(実物)
・地下足袋(現行民生品)
・携帯天幕(中田商店製複製)
・九八式小円匙(刃部のみ実物、他中田商店製複製)
・兵式飯盒 再塗装品(現行民生品)
・身体偽装網(メーカー不明複製)



縛着するものは状況によって変わりますので上記の組み合わせは一例です。





それではさっそく縛着してみましょう。
なお、縛着方法についても部隊や個人で差異がありますので一例です。
私は日本軍ベテランの証言や仲間からのアドバイス、当時の写真や映像、イベントで見た例などを基にした組み方で行っています。
勘違いで間違った縛着をしている可能性もありますので、その点はご了承ください。






まずは毛布です。
毛布の巻き方については別記事で紹介していますので、そちらをご覧ください。

【関連記事】
・日本陸軍 毛布の巻き方 九九式背嚢(蛸足背嚢)取付時(http://uag.militaryblog.jp/e577645.html


背嚢の外周に被せるように毛布を置きます。
左右2ヶ所、上2ヶ所を仮止めで結んでおくと仕上げが楽になります。
また、背嚢の底と毛布の両端を一直線で揃うようにすると綺麗に見えます。


毛布の巻き終わり位置は背嚢の背面、向きは外回りで合わせ、背負った際に見えないようにします。
結び方は団子結びでもOKですが、なるべく背嚢側面の根元で結びます。
また、紐がねじれないように気をつけましょう。


紐を結んだ際にできる毛布のシワはできる限り綺麗に伸ばします。
毛布に限らず、いかにシワなく縛着するかが背嚢を美しく見せるミソです


毛布の両側面の内、片方には地下足袋を縛着します。


地下足袋の靴底を外側にして毛布の上から縛着します。
なお、写真では左側面に縛着しています(通常は右側面です)。


結び終わったら、両側面共に余った紐を毛布の中に入れます。
背負った際に結び目が見えなければOKです。
入れにくい時は、毛布の巻き終わり位置や結び位置を調整しましょう。


毛布を両側面で固定した状態です。
上の仮止めは解きます。
写真では地下足袋を背嚢に対してよぼ真横に縛着していますが、これに限らず縛着する装備を横に出し過ぎると行軍の際に引っかかり支障が出る可能性があります
地下足袋の場合の対策としましては、位置を手前寄りにするなどがあります。


次は携帯天幕と九八式小円匙(スコップ)です。
両方共に縛着状態にしています(携帯天幕の畳み方については別の機会で・・・)。
写真の円匙は柄と刃部を結ぶ紐を柄だけに巻きつけていますが、刃部の柄差込口と一緒に巻き付けるとより確実な固定となります。


まずは携帯天幕を乗せます。
位置についてですが、背嚢を立てた状態でイメージすると、毛布の手前にに置く感じです。
また、毛布の時と同様、巻き終わり位置は背面(外回り)にして、正面から見えないようにします。


携帯天幕の上に円匙を乗せ、毛布の時と同じように背嚢背面の目立たない位置で紐を結び、余りの紐を処置します。
天幕にできたシワも伸ばします。
円匙を左側面に縛着する場合もありますが、九九式背嚢では規定上、上に縛着することになっています。
円匙の横付けは昭五式背嚢や昭和十三年制背嚢からの流れを受けているもので、どちらに統制するかは部隊長の判断になります。
また、円匙カバーの上から紐を結んでいますが、(反対側にあるので写真では見えませんが)カバーのループに紐を通すやり方もあります


次は飯盒です。


背嚢の中央に置きます。


背嚢下部にある紐をループに通し、飯盒の吊り手内側から2回持ち手に巻きつけます。
これは飯盒の吊り手を固定するための処置です。


飯盒のループと、背嚢の2つ目のループに紐を通します。


背嚢上面に残っている紐1本を持ってきて結びます。
ここは蝶結びの方がいいでしょう。


飯盒側面からの紐を、同じように吊り手に巻き付け、正面で結びます。


最後は身体偽装網です。


身体偽装網をねじって細くし、天幕と円匙の上から8の字で巻きつけます。
余った長さは、背面の目立たない位置で処置します。


あとは全体を調整して、完成です。
綺麗とは言いがたいですが、以前よりは格段に綺麗に組めたと思っています(当社比)。
なお、仕上げの際に、円匙カバーを通る紐(左側)をカバー側のループを通るようしたので途中で隠れています。


背面はこんな感じです。
雑ですね・・・。


九〇式鉄帽を飯盒に被せて顎紐で固定してみました。





慣れない内は(今もですが)紐結びが面倒と思いますが、実際にタコ足背嚢の使用経験がある陸上自衛隊隊員の証言で「73式背嚢は画期的な新型だった」「タコ足背嚢が嫌なので73式背嚢のPX品(私費の私物品)を購入した」といったものがあります。
また、「背嚢縛着の完成度で兵隊の練度がわかる」という話もあります。


ちなみに2年前、2013年の私はこんな感じです(身体偽装網はありません)。


成長はしていると思います・・・多分・・・(汗)



日本陸軍 九九式背嚢(蛸足背嚢) 縛着例(実演有)」はこれで以上です。