2015年03月19日

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
今回のお題は、小銃の持ち方についてです。
ここ数年でサバゲにおいてもCQB(Close Quarters Battle、近接戦闘)というのが流行り、CQB的な銃の構え方や動きなどを解説する書籍やサイトも数多くありますが、私は無関心とまでは行きませんが、日頃のサバゲやイベントではあまり重要視していません。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
日本兵装備やドイツ兵装備でそのような持ち方や動きをすると「これじゃない感」が物凄いことになります
ですが、「閉所フィールドで三八式歩兵銃を持ってCQBをキビキビ行い相手を倒す日本兵」というのもサバゲ的にはある意味カッコイイと思っていますので、CQBについて学ぶ研修会には時折顔を出しています。
撃つより銃剣で刺した方が早いのでは?」と冗談で突っ込まれたこともありますね(笑)
私のサバゲ経歴をご存知の方なら、某フィールドの伝説(?)を思い起こされる方もいらっしゃることでしょう。

【参考資料】
・Wikipedia記事:CQB(http://ja.wikipedia.org/wiki/CQB
・CQB近接戦闘マニュアル(http://www.cqb.jp/manual/



この記事のタイトルは「1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察」という大層なものになっていますが、実際の記事内容は非常に限定的かつ独自解釈です
極端に言うと「ドコ軍に関係なく、WWIIイベントでこの持ち方を何気なく行うと一層見栄えがアップすると思います!」という内容でして、これは2014年12月に行われた独ソ戦イベント「ざ・オストフロント」の状況開始前に参加者の共通認識として教えて貰ったコトが基です。


【YouTube動画:The Ost Front(ww2event) Trailer】YouTube

そんでもって、「1/6 フィギュア」とある通り、ソレで再現した持ち方を再現写真として使用します。
元々自分撮りで計画していましたが、セッティングがメンドクサクなったので変更しました(爆)

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
こちらが使用する1/6 フィギュア、ドイツ陸軍歩兵上等兵(ドラゴン製カスタム)です。
それでは、例によって例のごとく前置きが長くなりましたので、本題に入りましょう。










【以下、管理人の独自解釈がガンガン投入されます】










1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
まずは、サバゲにおいても全員この持ち方で写っている集合写真が大量にあるほど浸透している「ツー・ハンド・キャリー(Two Hand Carry)」と呼ばれる持ち方の、銃口を下に向けるバージョンです。
現在の軍隊の写真や映像、映画やゲームでも非常によく見るこの「水平より下に向ける」持ち方ですが、軍隊における小銃の構え方の歴史を見ると、この持ち方が普及し始めたのは2015年から数えてもそう古くないものであり、再現装備をしている場合、その時代によっては「不自然な持ち方」になってしまい、「この持ち方が原因で再現の質が落ちる」ということもあります。
具体的にどの時代からなのかは統計が取れていないので何とも言えませんが、アメリカ軍においては少なくともベトナム戦争(1960年~1975年)辺りから徐々に見られるようになっていると思います。
そして、第二次世界大戦においては訓練された兵なら通常「不自然」に該当する持ち方となります。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 1944年 マーケット・ガーデン作戦中におけるドイツ兵】

ですが、当時の写真や映像を見るとこの持ち方が確認できるものもあり、この写真では左端で伏せている兵の右隣にいる兵が銃口を下にして持っています。
ただ、これらを根拠に「全体的にも自然な持ち方」とは言い切れません
この兵士の場合は、木を寄りかかって盾にしながら右側より前方を覗いており、同じ体勢を再現してみるとこちらの方が素早く構えやすいことから自然とそうなったものと思われます。
このように、状況をイメージするとそちらの方が合理的(かもしれない)というのも出てきますので、何でもかんでも決めつけるのは実際のトコロ難しいです。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
不自然じゃない持ち方は何なのか」という答えの一つが「銃口を上にするツー・ハンド・キャリー」です。
本来ツー・ハンド・キャリーは銃口を上にして持つものでしたが、時代の移り変わりと共に現れた前述の「銃口を下に向ける」バージョンもツー・ハンド・キャリーに加えられるようになりました。
「銃口を水平より上に向けて小銃を持つ」というのは、「小銃」というジャンルが生まれて各国軍が採用した頃からある伝統的な持ち方です
これは個人的なイメージですが、



・銃が長いので下に向けると地面にぶつけ、銃口に土が詰まったり変形したりする恐れがある
・そのため、斜め下で持つのにも限度があり、また主流であった密集戦術では周りの邪魔になる
・加えて、着剣すると全長がさらに長くなり、危険もある(斜め上に持つ場合は相手にぶつからない高さに上げれた安全)
・担え銃をする際、斜め下に持っていると動作が遅くなる
・刺突体勢で銃剣突撃する際、銃口を斜め上に向けていれば味方が目の前に現れてもさらに上に向ければ危険を回避でき、敵の場合は下げればすぐ刺突できる
・銃剣をとっさに振りかぶる際、下から上に振り上げる(加えて振り上げた銃剣を振り下げる)より上から下に振り下げる方が素早い(首など急所を狙いやすい)
・ストック(銃床)で相手を殴る際、素早く振りかぶりやすい



などといった運用面から来ているのでは、と思っています。


【YouTube動画:Coldstream Guards 1815 bayonet charge】YouTube

この動画は1815年のイギリス陸軍コールドストリームガーズ連隊戦列歩兵を再現したものですが、何故ロー・レディが不便なのかは大体わかると思います。
当時の兵士や戦闘を描いた古い絵画でも、銃口を下にして持つ姿は、あったとしても極めて少ないでしょう。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 1916年 ソンムの戦いにおいて着剣状態で前進するイギリス兵】


【YouTube動画:Lost Battalion WWI movie DVD extended trailer】YouTube

約100年経過し、歩兵運用が密集戦術から散開戦術に移り変わり、また小銃もボルトアクションライフルが主流となった第一次世界大戦でも銃口を上にして持つ伝統は続いています。
戦時中の話でお世話になった元日本陸軍歩兵上等兵のベテランに三八式歩兵銃のトイガンを渡して扱い方の実演をお願いした際も、銃口を下にして持つことは一度もありませんでした。
ただ、歴史的にはそうだとしてもサバゲなどでは安全管理上銃口を上にして持つのは危ないという場面もあるため(実銃でもそうでしょうけども)、使う使わないはケースバイケースとなるでしょうけども、記事冒頭で述べたように再現性も重視するイベントなどでは意識しておくとポイントが高くなります。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
次は片手で持つ際の持ち方の一つです。
これは「トレイル・キャリー(Trail Carry)」と呼ばれる持ち方で、銃を持つ側の腕は伸ばした状態にします。
この持ち方がいつ頃軍に現れたのかはわかりませんが、正しいフォームでしっかり腕を振ると早く走れるという話がありますので、平たく言うと小銃を持った状態でそれを実現する持ち方です。
また、小銃をバランスよく持つと負担が軽減するという効果もあります(画像の傾きを実際に再現するとバランスが悪いです。フィギュアの手の形状の関係でああなっています・・・)。
現在においても、そのためのキャリングハンドルがついた銃もありますね。


【YouTube動画:Recently Discovered Color WW2 Combat Footage[HD]】YouTube

アメリカ兵、イギリス兵、ソ連兵、ドイツ兵、日本兵の戦闘シーンが映っていますが、概ね共通した持ち方をしています。

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【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 1941年 南方戦線で前進する日本兵】

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 1943年 タラワ島で戦うアメリカ兵】

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 第二次世界大戦において突撃するソ連兵】


【YouTube動画:Recently Discovered Color WW2 Combat Footage[HD]】YouTube

M16を使用している兵士はキャリングハンドルを持っている場面が多いですね。
完全に引き金から手が離れているため射撃体勢への即応性は落ちますが、サバゲでも有効な持ち方です(強度が低いものでやると壊れる可能性がありますので自己責任でお願いします)。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
最後にご紹介するのは、別の片手持ち、エルボー・キャリー(Elbow Carry)です。
ストックを脇に挟みながら片手で銃を支えてるというものです。
この持ち方は、どちらかと言うと、非戦闘時や記念写真などで見かける方が多いです。

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【元写真:海外フォーラムから拝借した写真 - 1944年、投降したドイツ兵を監視するアメリカ兵】

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察
【英語版Wikipedia:Vietnam War - ベトナム戦争に従軍するオーストラリア兵】




という感じでまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
トレイル・キャリーは前々から知っていましたが、ロー・レディ云々についてはほとんど気に掛けていませんでした。
そして見慣れた当時の映像や写真を片っ端から見直し、改めて納得しました。
些細なことと思われる方もいらっしゃるでしょうけども、その些細なことにも気を掛けるのも、再現というジャンルでは重要なものだと私は思っています。
それを積極的に実施できているのか、と言われると返答に困りますが・・・

1/6 フィギュアで見る第二次世界大戦における小銃の持ち方考察」についてはこれで以上です。




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